備忘録(仮)

ゲームの感想とか。不定期更新

月影の鎖 錯乱パラノイア 感想

このゲームずっとやりたかったんですがタイミングが合わず。やっと遊べた。

元はPSPの作品ですが毎回、新機種に移植してくれるのでありがたいメーカーさんですね

「鬱ゲー」と聞いてワクワクしていたが目を背けたいくらいリアルで重かった。ここまで人間の愚かさ、汚さを見せられる作品とは思わなくて。

観光業が徐々に衰退を見せ始めた島に住む主人公。そこに駐屯地を置き交付金を得る話が持ち上がるが膠着状態→代替案として税金の値上がり、物流規制やらで島が揉める……みたいな感じで政治の部分で巻き込まれる話

揉め事に主人公が巻き込まれ、全ルートでもいじめの対象にされるのできつい。それもほぼ八つ当たり、イチャモンみたいなもんだよ。そしてモブの罵詈雑言もフルボイス。思わず腹が立ってその他キャラのボイスオフにした。こんなの聞いてたら病む

出てくるモブが軒並み不快。

街の人たちは楽に生きることだけ考えてる、政策は他人任せだが決定項には文句を垂れ暴れる。軍を置きたくないのなら一次産業を育てるべきという譲歩に「今さら農業とか面倒だ!」と何においても文句を言う。

自分もある意味、この作品の島みたいなところに住んでるのもあって政治的な問題とか浮かんできて素直に楽しめなかったな……リアルすぎて。どんな政策にも一長一短があり、住んでる場所の事はちゃんと知らないとダメだなと。人として大切な事を学びました

 

ストーリーとしては彼のグッドエンドが大円団エンドかな?と思うほどまとまってた。

こんな人に国を任せたいと思うような行動力と人々をまとめ上げる力のある男。生い立ちが辛い。そして依存エンドが重なる部分があるのがまたしんどいものの、スチルが美しい。あと簪をプレゼントするシーンのやり取りがね。とてもときめく。

グッドエンドでは主人公も息子という守るべき存在ができたことにより、しっかり者になっていて格好良かった

 

言動を初めこういう頭のいいタイプのキャラが苦手だったから2周目に攻略。青年団ルートだと彼は一度すごく冷たい態度をとるのでそこで「この人やばいかも」と恐怖を覚えた。境遇といい、似たもの同士の2人なのかもしれないから惹かれるんだろうな。「痛みは愛の結晶」という台詞が印象的。怪我をした彼にめぐみが「押したら痛いんだろうな、そうしたらもっと愛を感じられるかも……」という思考に自然と行くのが恐ろしいなと。

体格を気にする彼にめぐみが「あなただから好き」と告げて互いに照れてるシーンかわいいな。そうだよこれ乙女ゲームだよってなった。ラストのスチルの2人が美しかった。

 

「包容力のある歳上」を好きになりがちなのでこの人に落ちそうと思ってたけど、村八分に差別描写がひどすぎてとても恋愛ゲーとして楽しむ余裕がなかった。さらに大人がよってたかって子供をいじめるシーンとかドン引き。あと、めぐみを守るため望が島の人にガツンと言ってやるシーンほんとスカッとする

悪事を暴くためにキャラ総出で乗り込む終盤が読み応えがある。

ノアとめぐみの兄、護が仲良くしてるシーンが癒し

理也

彼が女性に優しい理由は生い立ち、働いてる場所によってできた性格。けどこれで沢山の女の子を惚れさせ泣かせてきたのかもしれないと思うと辛いな

敵だった深海の生い立ちをここで知ることができる。恵まれた人だと思っていたけどあまりにも衝撃的だった

人は1人では生きていけない、迷惑をかけるのが当たり前なんだからもう少し肩の力を抜いてと告げる場面が印象的。若くしてこんなことが言えるのすごいな

依存は物悲しく、グッドは幸せでよかった。あのめぐみが武道?を習い物取りを倒すなんて逞しくなりすぎだけどかっこいいよ。

 

サブキャラ。めぐみの兄で新聞記者

普段はだらけてるように見えてここぞの時に助けてくれるし陰鬱な雰囲気の中、彼の明るさが救いだった。どのルートでも「妹が選んだ男なんだから信頼してる!妹をよろしくな!」と受け入れてくれる格好良さもある

菖蒲

サブキャラ。元芸妓で姉御肌。めぐみに対してもアドバイスをくれたり危険な時は助けてくれる、そんな彼女の優しさにも救われた

 

めぐみ

主人公。とにかくビジュアルが可愛すぎる。美人すぎる。頬を染めた時の顔が可愛すぎる。

自分のことを卑下したり、意見は押し込む。謝る事が多いのでモヤモヤしたものの彼女の生い立ちを考えると仕方ない。そんな彼女でもルートに入ると強さを持ち、相手に強く言い返すこともできるようになるので応援したくなる

 

 

恋愛ゲームというよりは、「激動の時代を生きた人々の物語」キャラ萌えしてる余裕なんてなし

テキストも小説的で表現が美しいので、挫折しそうになるものの、読み進められる

鬱ゲーと聞いていたが、「人間の汚さ」を見せられるという意味の鬱。しかし私も島の住人の立場になった時、悪いことは悪いと言えるのか?と考えるときっと難しい気がする。だって排除されるのは怖いもんな。

期待してた依存エンドはそこまで刺さらなかった。ずっと陰鬱だからラストくらいハッピーになってくれと願ってしまう。しかし主人公は逞しくなった姿もいいが儚い表情も美しいので。そういう顔が見れると言う意味では良い

正直しんどかったです

でも、他人事にしてはいけないという政治の考え方とか、人と助け合って生きていく事の大切さとか。人として大切なことが詰まっていたので忘れたくないな 忘れそうになったらまた、気持ちを引き締めるために再プレイしたい。それくらい深い作品でした